第20章 群青色の空と、鮮血の赤
「なんの恨みがあるか知らねェが…どういうつもりだァ?」
「…どうせ興味ないくせに」
“アンタが滅ぼした島の生き残りよ、だから敵討ちするわ”と言ったところで、ドフラミンゴにとって、ただの暇潰しにしかなっていないその行為を覚えているとは思わない。
寧ろ「覚えていない」と言われた方が、私の決意は無駄だと言われてるようで。
「フフッ…そうだな、どうだっていいさ」
見下すような含み笑い。
憎悪しか感じない。
この男は、あの時もそうやって笑っていた。
私の島を滅ぼした時も。
「向かってくるなら仕方ねェ…相手してやるよ」
宙に手を上げたドフラミンゴは、それを一気に振り下ろす。
空気が切れるような耳鳴りがして、私はその場から離れた。
予想通り、私が蹲っていた場所は、まるで爪で引っかかれたような跡が出来ていた。
気付かずにその場に居たら…私は八つ裂きだった。
「…くッ」
寸での所で避けたは良いけど、先程蹴られた場所が痛む。いつまでも蹲ってはいられないけど、身体に力が入らない。
…でも、やらなきゃ…!
あいつを、此処で…
「!!」
ドクン、と心臓が強く波打つ。
この感覚は…
「はァ…はァ………うッ」
「なんだァ?もう死にそうじゃねェか」
始まったんだ、“冬身病”が。
―――よりによってこんな時に…!