• テキストサイズ

【外科医】 キミ色に染まる  【完結】

第2章 お前の心臓、預かっておく



「そんなに嫌なら構わねェが…お前はおれに貸しがある 」
「はあ?いつあたしがそんなものを、」
「一万二千ベリー」
「………はい?」

 全く身に覚えがない額に、女は眉間の皺を深くした。

 そして暫く考え込んだ後、「あ!!」と声を張り上げ、先程の強気な表情が一瞬にしてダラダラと汗を流し始める。

「あ、あの、その節は…」
「利子三倍の所を三万五千ベリーに負けてやるよ」
「全然負けてないし!てゆーか利子三倍って何よ!」
「海賊に金を借りたんだ、当たり前だろ? 」
「う゛っ…」

 先程の会話で分かったこの女の“海賊”の道理とはそう言うものだろう、と高を括った言葉を並べれば、バツの悪そうな顔を見せた。



「わ、分かったわ…払えば良いんでしょ、払えば…」

 女は引き攣った苦笑いを見せながらそう吐き捨てた。

「言っとくが一括払い以外は認めねェ」
「フン、その程度の額、持ち合わせてるに決まって、」
「全財産七千ベリー…足りないな」

 本日何度目かのため息と共にペンギンが呟く。その手には、いつの間にかその女の財布らしきもの。

「ちょちょちょ、勝手に財布漁るな!」
「お前…普通に払う事も出来なかったのか」
「も、もう少し入ってると思ったのよ…」

 しどろもどろに口を尖らせた女は、再び顔を背けた。本当に面白い女だ。


/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp