第19章 この手からすり抜けて、君は何処に
「…」
窓から差す光。眩しくて眉を顰める。
昨日の酒がまだ残っているのか、身体が怠い。
――――もう少し寝よう。
横目で見たローテーブルの上の時計は昼前を指している。
それを確認し、再び眠りにつくため、隣に眠っている筈のアクアを抱き寄せようと、身体を横に向けた。
「……アクア?」
だが、そこに彼女はいなかった。
彼女がいた筈の空間は冷たく、温もりがない。
ゆっくり身体を起こして辺りを見渡すが、ソファーにも何処にもいない。シャワーを浴びているのかと思ったが、水音すら聞こえてこなかった。
――――食堂か?
アクアは朝昼晩、おれが調合した薬を飲む。それは食事後に服用するもの。
もしかしたら、一回でも飲み損ねるとおれが怒るから、飯を食べに行ったのかもしれない。
身体を重ねた後、改めて会うのが他のクルー達がいる食堂かと思うと、少し照れくさいものがあるが、すぐにでも彼女に会いたくて、ベッドから降り服を着て部屋を出た。