第18章 貴方を愛してしまった
目を覚ましたら、そこは変わらない薄暗い部屋。
違うとすれば、先程まで快楽に顔を歪ませていたローが、穏やかな顔でスヤスヤと眠っている事。その腕でしっかりと私を抱きしめていた。
徐ろに腕を伸ばし、彼の頬に触れる。
よく眠っているようで、目を覚ます気配は無い。
「…ロー」
私は今まで、何度彼の名を呼んだのだろうか。何度愛しいと思っただろうか。
何度このまま共に生きていきたいと…
だけど、その願いは叶わない。
私の病が進行していく以上、それは叶わないんだ。
ローは何としてでも、私の病を治すために奮起してくれると思う。だけどそれは時間の無駄であって、ローの野望の邪魔になる。
彼の重みになりたくない。
だって、私は。
「愛してる…ロー…」
もう二度と、そんな想いは抱く事はないと思っていたのに。
【貴方を愛してしまった】