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【外科医】 キミ色に染まる  【完結】

第18章 貴方を愛してしまった



「ほんと、初めてアクアに会った時はマジで焦った。船長に向かって“アンタ”とか言うからさー」
「おれ、あの時この女死んだなって思ったよ」
「…ふふ。お陰で“船長に生意気言う命知らずの女”っていうレッテルは、鼻が高かったわ」

 いつの間にか、話は私が彼らに出会った時の事になっていた。

 確かに当時は海賊が大嫌いで、例え億越えだろうと関係なく歯向かって。いろんな海賊共を蹴散らして、その賞金で生活していた。
 思えば、よく今まで死ななかったなー私。


「それがよ、今じゃこんな丸くなっちまって」
「何?昔の方が良かった?」
「ちちち違うッ、そうじゃなくて…」
「……すっかり女になったよな」

 慌てふためくシャチに怪訝な目を向けていれば、隣からペンギンが言葉を挟んだ。

「破天荒なアクアは見てて飽きなかったが…今の方が可愛いよ、お前は」

 普段は口にしない単語をスラッと言ってしまう辺り、ペンギンは相当酔っているんだと思う。目が据わってる気がするし。

「私が可愛い?ペンギンってば見る目あるじゃない」
「まァな。良い女ってのは滲み出るものさ」
「あら、もしかして口説いてる?それなら私、もう少し飲まないとね」
「くくっ…お前より先におれが堕とされそうだな」

 こんな風にペンギンと冗談を言い合えるのは、結構楽しい。面白い返しをしてくれるしね。

 普段はクールでそこは少しローに似ているけど、人の気持ちが酌めるし空気も読める。彼に愛される女性は、きっと幸せになれる気がする。
 そんな事を想像をしながら、テーブルにうつ伏せたペンギンを見ていた。

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