第18章 貴方を愛してしまった
「アクア」
ローが私の前に立つ。その瞳はいつもの優しいそれ。
ヤバイ。普段と何も変わらないのに、ローに見つめられるだけで、涙腺が崩れそうになってる。
それを悟られないように平然を装わないと。
「なに?」
「帰ってきて早々だが、早速買ってきたコイツらを使おうと思う」
「え、今から?いきなり全部??」
「あァ。まずは…」
ゴソゴソとベポが持ってる袋に手を伸ばす。いくらなんでも、急にそれ全部やるのには気が引けるんですけど。
てゆーか、その夥しい注射器の量は、最早アンタの趣味では…
「まァまァ、船長。今日は良いじゃないですか」
苦笑いのペンギンがそれを制した。
「アクアは今日ずっとストレスを感じてますよ。治療は明日からにしてやってください」
「…チッ」
ペンギンの言葉にローは黙り、眉間のシワを一層深くして舌打ちした。
さすがは右腕。ペンギンは素晴らしい人格者だと思う。
「さっき帰り道に良い感じの酒場を見つけた。今日はそこで宴をやる」
船番以外はおれについてこい、と言ったペンギン。クルー達は一斉に歓声を上げ、ぞろぞろと梯子を降りて行った。
哀しいかな、私はその後ろ姿を見送るだけ。
だってローは私に上陸許可くれないだろうし、どうせ部屋に戻って寝ろって言うんだろうし。
私だって、最後に皆と…