第18章 貴方を愛してしまった
船に戻ると、一番にシャチが駆け寄ってきた。
「何処行ってたんだ」「心配したぞ」と、彼は怒りながら、でも泣きそうな顔で。
今までの私なら「煩い」と罵っていただろうけど、今日ばかりは「ごめんね」と謝った。
いつもの返しとは違う事にシャチは気付いただろうか。
ううん、やっぱりシャチはバカだから。「す、素直に謝ったから許すっ」と少し頬を染めていた。素直な私では調子が狂わされるようで。
もう少し優しくしとけば良かったかな、なんて柄にも無い事を思ってしまうのは、そんなやりとりはもう出来ないと分かっているから。
幸いにも、ローはまだ帰ってきていなかった。
安堵したと同時に、一体何処まで行ったんだろうと心配になる。
…ドフラミンゴと遭遇していなければいいけど。
「戻ったぞ」
「おかえりなさい船長!」
日が沈み始めた頃、漸くロー達は帰ってきた。
「ただいまアクア、良い子にしてたー?」
「うん。ずっと船にいたよ」
シャチは、私がいなくなった事は黙っとくと言ってくれて。いや、寧ろ彼にしてみれば、私が船を降りた事がバレたら自分の命が危ないからだと思うけど。
私も怒られたくないし、そういう事にしておこう。
「随分荷物が多いわね」
「あァ。殆どがアクア専用の医療器具だ」
「…えっ」
これ、相当な数でしょ。
それ全部私のって…一体これからどんな治療を始めようとしているのだろうか。
―――もう、そんな物必要ないのに。