• テキストサイズ

【外科医】 キミ色に染まる  【完結】

第18章 貴方を愛してしまった



 船に戻ると、一番にシャチが駆け寄ってきた。

 「何処行ってたんだ」「心配したぞ」と、彼は怒りながら、でも泣きそうな顔で。
 今までの私なら「煩い」と罵っていただろうけど、今日ばかりは「ごめんね」と謝った。

 いつもの返しとは違う事にシャチは気付いただろうか。
 ううん、やっぱりシャチはバカだから。「す、素直に謝ったから許すっ」と少し頬を染めていた。素直な私では調子が狂わされるようで。

 もう少し優しくしとけば良かったかな、なんて柄にも無い事を思ってしまうのは、そんなやりとりはもう出来ないと分かっているから。


 幸いにも、ローはまだ帰ってきていなかった。

 安堵したと同時に、一体何処まで行ったんだろうと心配になる。
 …ドフラミンゴと遭遇していなければいいけど。






「戻ったぞ」
「おかえりなさい船長!」

 日が沈み始めた頃、漸くロー達は帰ってきた。

「ただいまアクア、良い子にしてたー?」
「うん。ずっと船にいたよ」

 シャチは、私がいなくなった事は黙っとくと言ってくれて。いや、寧ろ彼にしてみれば、私が船を降りた事がバレたら自分の命が危ないからだと思うけど。
 私も怒られたくないし、そういう事にしておこう。

「随分荷物が多いわね」
「あァ。殆どがアクア専用の医療器具だ」
「…えっ」

 これ、相当な数でしょ。

 それ全部私のって…一体これからどんな治療を始めようとしているのだろうか。


 ―――もう、そんな物必要ないのに。


/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp