第2章 お前の心臓、預かっておく
「ペ、ペンギン!その女捕まえたのか?!」
「当たり前だ。大方女だと油断したんだろ」
「うっ… 」
無傷のペンギンを見て、シャチは悔しそうに口を結んだ。
そりゃそうだ、おれの右腕が少し戦闘術の有る女に負けてたまるか。
「それで船長、この女をどうするつもりですか?」
拘束した腕はそのままで、ペンギンは女をおれの前に出す。
「くっそ、離せっ、何が目的?!」
「…」
拘束されているくせに、相変わらず威勢の良い。海賊だと知っていて、まだ刃向かうつもりか。
おれはゆっくりと足音を立てて女に近付く。
そして未だに睨んだ目付きを見せる女の顎に手を添え、上を向かせた。
「な、触るな海賊!」
前髪の間から見える眉間の皺。屈しないその姿勢に、夢とは違った惹かれる物がある。
「有無は言わせねェ…お前、おれの船に乗れ」