第2章 お前の心臓、預かっておく
「シャチ!」
「せ、せんちょーっ」
どうやらそっちの想定までも当たってしまったらしい。
港に着けば、すぐ目に入ったのは明らかに戦闘後の…しかも負けたであろうシャチがボロボロの姿で倒れていた。
「あの女がやったのか」
「船長!なんなんすかあの女!めっちゃ強いんですけど!」
「だからって負けるか?普通」
「相手が女だったんで…油断しました…」
只者では無いと言っておけば良かったか。それにしたって情けない。
「それで、女は何処に行った」
「森の方に逃げて行きました。多分あっちにはペンギン達がいると…」
シャチの介護はべポに任せ、おれはシャチが指を指す方を見据える。
「…恩を仇で返しやがって」
一筋縄ではいかないとは思っていたが。本当に面白い女だ。
まあそんな事を言っていても仕方無い。
おれは森の方へ足を進めた。
と、同時に人の気配を感じた。
生い茂る草木に目を凝らして見る。
「シャチ、大丈夫?」
「あいつまじ強ェ。ペンギン達が心配、」
「その必要はないみたいだな」
「え?」
森の奥から現れたのはペンギンと、クルー数人。それと、そのペンギンの前にもう一人。
「は、離せ!海賊!」
ペンギンの腕にしっかりと拘束されていたのは目当ての女。