第17章 果たせない約束
いつだってそれは神出鬼没で。
いつだってそれは簡単に私の心を掻き乱す。
「……ドフラ、ミンゴ…ッ」
「久しぶりだなァ。まさかこんな所に一人でいるとは…」
私の島を襲い、嘲笑うかのように去って行った大男は、相変わらず口角を上げて怪しく笑う。
思いもよらない偶然の再会は、私の背筋を凍らせ、息を詰まらせた。
「…何の用?」
精一杯の睨みを向ける。
無論、ドフラミンゴはそれに怯む事は無く。
「フフッ…まァ落ち着け…、危害を加えるつもりはねェさ…今はな」
“今は”と言う言葉がやけに引っ掛かった。
…何か企んでいる。本能で、嫌な予感が私の頭を過ぎった。
「ローなら今いないわ」
「あァ…知っている。あいつに会いに来た訳じゃねェさ」
「…」
「おれが用があるのは…嬢ちゃん、お前だ」
「?!……わた、し…に…?」
どういう事だ。全く理解が出来ない。
用があるとすれば、私の方だ。目の前にいるこの男は、私の敵である。
だが、それをドフラミンゴが知る筈が無い。
あの時…島を襲われた十年前、私は姿を見られていないし、この男を倒す為に生きてきたなんて知る由もないのだ。