第17章 果たせない約束
全部、私の為。
ローは自分の睡眠時間を削ってまで、資料を片手にいろいろと調べているようだった。
何をしているのかまでは分からなかったけど、私が目を覚ませば、いつもローは机に向かっていたから。
そして目が合えば、「余計な心配するな」と微笑む。
その優しさは嬉しくもあり、また迷惑をかけてしまったなとも思う。
「…ロー…」
その名を口にしてしまえば、何故だか泣きそうなくらい胸が苦しくなって。
―――会いたい。
「…戻ろう」
恐らくロー達はまだ帰ってきていないだろうけど。シャチの身の安全の為にも、いい加減“家出”はもう終わりにしなきゃね。
私はゆっくりと立ち上がり、船の方へ踵を返した。
だけど…それは叶わなかった。
「フフッ………、また会えたなァ…嬢ちゃん…!」
不敵に笑う大男が、私の目の前に現れた所為で。