第17章 果たせない約束
黄色の自船が見えなくなったところで、丁度良い岩場に腰掛けた。
あんまり遠くに行き過ぎて、仮にローが先に帰ってきたら、それこそシャチがバラされてしまうだろう。
元々長居するつもりは無いし。
「やっぱり外の方が良い…同じ空の下でも甲板の上とじゃ大違いね」
ゆっくりと流れる雲も、寄せては返す波の音も、ざわめく木々の木漏れ日も。全てが愛しく思えるのは、やっぱり自分がまだ体調が万全ではないからなのだろうか。わからないけど。
そう思っていたら、何故だが急にローの顔が浮かんできて。
「…迷惑、かけてるよね」
サボから届いた冬身病に関する資料。
私は寝込んでいたから、全てに目を通す事は出来なかったけど、それはそれは膨大な量で。
ローが言うには“シンプル且つ、地道”らしい。
その日から、私だけ栄養配分の整った食事に変わった。
他にも、身体を十分に温める為に、今までシャワーだけだったけど、大風呂を使わせてもらうようになったり、適度な運動をしたり。
兎に角、その資料に書かれているのだろう治療法を全て実践させられた。