第17章 果たせない約束
確かに…食堂で急に倒れた日から二週間、私は再びあの病に襲われて。
予兆も無く倒れたのは初めてだったから、自分でも驚いている。だから余計にローが気を遣ってくれているのは分かってるんだけど。
…それでも自分だけ留守番なのは納得いかない。
シャチは明日街に行くと言っているし。ズルイ。
「…シャチ、喉渇いた」
「おい。おれは“見張り役”であって、パシリじゃねェぞ」
眉間にシワを寄せた彼は、依然としてその重たい腰を上げてくれない。それほど彼が任された仕事は、決して失態を犯してはいけないらしい。
「…頭がクラクラするの。変な汗まで出てきたわ」
「…」
「あー、また倒れちゃうのかしら、私」
「……」
「ローの留守中に、また私が倒れたりしたら…大変よね…?」
「………あぁ゛ー、もう!わかったよ!」
私の軽い脅しが効いた様で。やっとその場から立ち上がったシャチは、「絶対!そこから動くんじゃねェぞ!」と三度くらい忠告の言葉を吐いた後、船内へ入っていった。
勿論、私は。
「…私に命令するなんて百年早いっつーの」
姿の見えない彼に舌を出し、甲板から飛び降りた。
「っと、身体が鈍ってる…」
普段なら軽々とやってのけるそれも、病み上がりの身体にはまだ早かったようで。
よろけそうになりながらも、ゆっくりと浜辺を歩いた。