第17章 果たせない約束
「アクア、いい加減機嫌直せよ」
不貞腐れて口を尖らせている私に、シャチは溜息をつきながらそう言った。
「…」
「帰ってきたら、おれからもお願いしてやるからさー」
「…私がお願いして聞いてくれないんだから、シャチのを聞く訳ないじゃない」
「確かに…って、おい!そんな訳ねェよ!」
ぎゃあぎゃあと反論してくるシャチを余所目に、甲板の縁に肘を立てて外の景色を眺めた。
ここから街を見る事が出来ないけど、きっと華やかな場所なんだと思う。
ローのやつ、ケチだから私の上陸許可を下ろしてくれなかった。
前までは島に着けば、必ずと言って良いほど街を歩かせてくれたのに。
「まァ、仕方ねェよ。つい一昨日くらいまで寝込んでた人間を、船長が連れ回す訳ねェだろ?」
それがおれ達だったら関係無しに荷物持ちさせるんだろうけどさ、とシャチは苦笑いを浮かべた。