第2章 お前の心臓、預かっておく
あの女の後すぐに店を出たというのに、完全に見失ってしまった。
しかしおれに焦燥感など無い。
こんな小さな島だ、うちの海賊団総出で探せばすぐに見つかるだろう。
見た感じの格好は旅をしているようだった。店主は見た事ないと言っていたな。
もし島を出るのなら、島に一つしかない港へ向かうだろう。そう読んだおれはそのまま港へ向かった。
「ねぇキャプテン、あの子探してどうするの?」
「飯代を立て替えてやったんだ。礼くらいしてもらわねェとな」
「…悪い顔してる」
そうか?なんて言う口角はすでに上がっているのだろう。まあ悪いようにはしねェよ、と言えば、べポは少し安堵の顔を浮かべた。
暫くして電伝虫が鳴った。
応答すれば、シャチがあの女を港で見つけたらしい。おれの読みは当たったようだ。
「急ぐぞ」
べポの腕を掴んで能力を使うために右手を翳す。所謂瞬間移動が出来る能力は、こういう時に役に立つ。
いくらシャチでも、下手な事を言えば戦闘になるだろう。
あの女は海賊を嫌っているようだった。そこにどんな理由があるのかは分からないが、あれ程の身のこなしから戦い慣れをしているに違いない。
シャチが取り逃がす事も想定して、港へ向かった。