第14章 離さない、離さないで
「これは僕個人の電伝虫に繋がるコード番号です。データがまとまり次第連絡しますね」
「あァ…悪いな。頼む」
「本当にありがとう、サボさん」
「はは、サボでいいよ」
目を細め笑ったサボは、ゆっくりとアクアの頭に手を伸ばした。
「君の真っ直ぐな瞳は、僕の恩師によく似ている」
「…恩師?」
「そう、世界で一番尊敬出来る人」
そう言いながらアクアの頭を撫でた。
一瞬、気安く触るなと割り込もうとしたが、あまりにも優しい目つきを見せるから、それ以上は何も言わないでおこう。
「大丈夫。彼はきっと優秀な医者だ。それに…番犬としてもね」
チラッと横目でおれを見て、ニッと笑ってみせる。
赤の他人だと言うのに、全く苛立ちを感じさせないのは、彼のその屈託の無い笑顔のせいか。
調子狂う男だ。