第14章 離さない、離さないで
「ですが、我々は昔サザーランドさんに沢山お世話になったので…せめて治療法だけでも見出そうと奮起したんですよ」
「はは。僕は何もしてないけどね」
先程のサボの態度を見ても思ったが、この男は一体どれほどの手練だったのか気になる。
まあ、それは関係ない事だろうから深く聞き出すつもりは毛頭ない。
「息子さんには大変な思いをさせました。まるで実験台のような連日に渡る検査…辛かったと思います」
視線を床に落とした彼は、少しばかり苦痛な顔を浮かべた。
前例がない症状を調べ上げるのだ。
精神的にも負担が多かったのだろう。
「だけど…我々は治療法を見つけました」
険しかった彼に、穏やかな表情が戻る。