第8章 看病ver.ルキ【無神ルキ】
『ほら、剥けたぞ』
名前にリンゴを差し出す。
「ありがとう…」
体を起こそうと力を入れたが、思うように動けない。
『無理をするな…!』
すぐに体を支えて上半身を起こしてやる。
「あり、がとう…」
名前は
はあはあと肩で息をした。
『…口を開けろ』
「…えっ?」
ルキがリンゴを持って口元に近づけている。
ーーもしかして、食べさせてくれるの?
「……っ」
恥ずかしいと思いながらも素直に口を開ける。
シャリッーー
みずみずしい食感が口の中に広がった。
同時に甘酸っぱい感情が、名前の胸を締め付ける。
『…どうだ?』
「うん、おいしい…」
ーーだってルキくんが剥いてくれたんだもん…!
熱で体はだるかったが、名前は幸せな気持ちになった。