第8章 看病ver.ルキ【無神ルキ】
『まったく…お前というやつは…』
荒い呼吸を繰り返す名前の額に冷たいタオルを乗せる。
「…ごめん…」
呆れた顔をしているルキに、つい謝ってしまう。
こうなったのも、自分の不摂生が原因だ。
朝からクラクラとめまいに襲われ、体調が優れなかったのだが、
ルキに顔が赤いと指摘されて熱を計ってみたら、体温は38度を超えていた。
『謝るな…それより早く治すことを考えろ』
苦しそうにしている名前を見ると胸が痛む。
「ありがと…ルキくん…」
『…ッ』
顔を赤らめ、目はとろんとして息も上がっている。
こんな名前に見られるとドキッとしてしまう。
いつもは見せない、その扇情的な表情に
ルキは思わず目を逸らした。
『…喉が渇くだろう…リンゴでも食べるか』
リンゴを乗せた皿とナイフを持って、名前の傍へイスを置いて座る。
「あっ…」
ーールキくん…いつもより優しい…?
少し驚いた様子の名前を見て、ルキは手を止めた。
『今は食べたくないのか?…ならば水を…』
「違うの…!ルキくん…優しいなって、思って…」
『…。』
名前が火照った顔で微笑む。
自然と心臓の鼓動が早くなる。
それを悟られないように、平静を装って答える。
『…当たり前だろう、お前には早く元通りになってもらわないと困る…悪化しても面倒だからな』
「そうだね…ありがとう…」
『……』
またそんな顔をして…。
オレも何を動揺しているんだ…
自分を落ち着かせるために黙々とリンゴの皮を剥く。