第6章 看病ver.アズサ【無神アズサ】
ーーガチャ
ドアが開いて、戻ってきたアズサが名前に駆け寄る。
手には薬とコップを持っている。
『これ、飲んで…薬…ひとりで飲める…?』
名前の口元へ錠剤を近づける。
「っ、はあ…」
薬を取ろうと手を伸ばそうとするのだが、
腕に力が入らない。
そんな名前をアズサは心配そうに見つめる。
『つらいんだね…飲めないならオレが…飲ませてあげる…口、開いて?』
「あっ…」
名前は力なく口を開けた。
そこへアズサが薬を入れる。
『待ってて…今、水を…あげるから』
そう言ってアズサは自分の口に水を含んだ。
そのまま名前に口付ける。
「ん…んう…っ!」
唇が重なる感触にビクンと身体が跳ねた。
アズサの口から水が流れ込んでくる。
『んっ…っはあ…』
名前が水を飲み込んだのを確認すると、
アズサが唇を離した。
「っ…えっ…?」
今起きたことに驚いて、
火照った顔でアズサを見る。
『まだ、飲む…?』
「…あ…いや…!」
(…アズサくんに口移しで…水を……)
ただでさえ赤い名前の顔が、さらに熱を持つ。
体温はますます上がり、目を開けているのもつらい。
頭がぼーっと重くてクラクラする。
『オレがずっと傍にいるから…ゆっくり、休んで…?』
うつろな目をした名前の頭を撫でながらアズサが優しく囁く。
「…っ」
……あ、
そうだ…
名前は約束を思い出す。