第6章 看病ver.アズサ【無神アズサ】
ドアノブに手をかけたところで
ノックの音がして、外からアズサの声が聞こえた。
『名前…いる?』
「…っ、アズサくん…」
呼吸を乱しながら応える。
喋るとズキンと頭が痛む。
『着ていく服…選んでもらおうと思って…』
アズサの声もあまり頭に入ってこない。
「はあ…っ」
名前の返事がないのでアズサが怪訝そうな声で問いかける。
『どうしたの…?…ドア、開けていい…?』
名前は壁にもたれ掛かって荒い呼吸を繰り返していた。
「はあっ、はあ…」
『…?開けるよ…んっ』
ガチャーー
アズサがゆっくりとドアを開けると、
苦しそうに壁に寄りかかる名前がいた。
『名前…?!何、やってるの…』
「はあっ…ア、アズサ…くん…」
ただならぬ名前の様子を見て、
アズサは驚いて持っていた服を床に捨て、体を支える。
『顔…真っ赤だよ…、息も乱れてる…苦しいの?』
「はあっ…だ、大丈夫…」
名前はなんとか答える。
しかし、とても大丈夫そうには見えない。
アズサの手が名前の額にスッと触れた。
冷たい感触にピクリと身体が反応する。
「んっ…」
『…熱い…。オレ、薬取ってくるから…待ってて』
そう言って名前の体を支えながらベッドまで連れて行く。
ゆっくりとベッドに寝かせてから、アズサは部屋を出て行った。
「はあ…っ」
名前は朦朧とする意識の中で、
まだアズサと出かけることを考えていた。
「…支度、しな、きゃ…」
そんな思いとは裏腹に体のだるさは増す一方だ。