第4章 序列2【無神ルキ】
『…もういい。来い』
グイッーー!
名前の腕を思いっきり引っ張った。
「いたいっ…!」
ただでさえ、痛みが残っているのに
上から掴まれるとズキズキと痺れる。
「どこ行くの…?離してよ…!」
『黙れ』
下着姿のままの名前を、痛む腕をガッシリと掴みながら連行する。
名前はとにかく、今の自分の恥ずかしい格好を見られるのが嫌で
廊下で誰かに会わないかビクビクしていたが、
幸い誰ともすれ違うことはなかった。
ルキとの約束の事など、すっかり忘れていた。
ルキの部屋に着くと、ソファーに座るよう促された。
隣にルキが座る。
『…』
「…?」
ルキが黙っているので顔を覗き込むと、
心なしか険しい表情をしているように見えた。
いつもとは違う雰囲気に、なにかただならぬものを感じる。
なにこれ…気まずいんだけど…。
「あの…」
沈黙に耐えられず口を開くと、
ルキが名前を睨みつけた。
『…その腕の跡は何だ?』
「えっ…?」
………あ!!
名前は全てを思い出した。
昨日の事、腕のアザ、下着姿の自分…
そしてルキと交わした約束。
「え、と…これは…」
まずい。
こういうとき…何て言えば…
動揺を隠せない名前を無視して、ルキは鋭い目で続ける。
『お前の服はどこにある?』
「……!」
…そっか…私ユーマの部屋に…置き忘れたんだ…。
…ユーマがルキに喋ったのかな…
色々なことが頭を巡る。
素直に話さない名前に、ルキは苛立ちを覚えた。
一層声のトーンを落として詰め寄る。
『隠しても無駄だ…オレは何もかも知っている』
「…えっ」
『お前は約束を破り、昨日ユーマの部屋へ行き、淫らな行為に耽り…そのはしたない格好のまま自室へと戻った…違うか?』
「……。」
全て筒抜けになっていた。
なにもかもバレている。
驚きと共に、恐怖の感情が名前をジワジワと蝕む。