第1章 密会【無神ルキ】
『こっちへ来い』
何をされるかわからない不安で、警戒しながら近づいた。
ルキの目の前で立ち止まる。
「…っ」
その瞬間、ふわっと抱き寄せられた。
ルキの香りが鼻いっぱいに広がる。
これだけで、顔が熱くなるのを感じた。
ルキは満足そうな笑みを浮かべて名前の耳元で囁く。
『今日は随分と素直だな…やっと自分の立場が理解できたか?』
「…っ」
色っぽい声で耳元で囁かれると何も考えられなくなる。
『いつ…いかなる時も
お前はオレの家畜だということを、忘れるな』
「…」
『…返事が聞こえないが』
「…はい」
『さて、前置きはこのくらいにして
…始めるか』
ルキが名前の肩に手を置き、ベッドへと誘導する。
そういえばまだここに呼ばれた理由を聞かされていない。やっぱり血が欲しいのかな。
「あの…今から何を…」
恐る恐る聞くと、
『こんな夜中に俺の部屋へ来て、何をするのかだと?…』
と言うやいなや、名前はベッドへと押し倒された。
「きゃっ…」
目の前にはルキの端正な顔がある。
名前は思わず目をそらした。
『まったく…馬鹿な女だ』
嘲るような表情でそう言うと、深いキスを落とす。
「んんっ…」
唇が重なり合う感触。
ルキの匂いと吐息で頭がくらくらする。
唇が離れても、恥ずかしさでルキの顔を見ることは出来なかった。
「…目を逸らすな、オレを見ろ」
甘ったるい声が耳元で響く。
「でも…恥ずかしくて…」
「恥ずかしい?家畜の分際で生意気にも羞恥の感情があるのか…」
そう耳元で囁きながら、蔑むような目で名前を見る。
こうして名前を徹底的に賤しめるのが最高に楽しい。
オレが一言煽ってやれば、こいつは怯えるような顔をするが、オレには分かる。こいつは恐れの中に快楽を感じている。
湧き立つような加虐心を抑えつつ、
この状況に快楽を感じるのは、ルキも同じだった。
名前の頭を優しく撫でながら、耳元で突き放すように冷たく囁く。
「ご主人様の言うことが聞けないのか?違うな?
お前なんかいつでも殺せる、取るに足らない存在だと、自覚しろ」
「はい…」
顔を赤くして俯く名前に、もう一度キスをする。