第3章 序列1【無神ユーマ】
「あっ…」
ガチャーー
『立ち止まん、なッ!!』
ドンッ!
「いたっ…!」
思いっきり強く押されて、名前はユーマの部屋の中に倒れこんだ。
後ろでガチャリと鍵をかける音が聞こえた。
これは、まずい。
ルキの顔が頭に浮かんだ。
名前は慌てて立ち上がる。
「だめっ…あたし出る…!」
ドアの前に仁王立ちしているユーマをどかそうと必死になっていると、
また腕をガシッと掴まれた。
「いたっ!…」
『ああ?何やってんだ?
バカはお前は?出してやるわけねーだろ!』
「えっ…ダメ…ここにいたら…!」
ルキに知られたら何をされるかわからない。
約束を破ったら殺される可能性も…なくはない。
なくはない…よね…
まずい、ユーマを怒らせないようにここから出なきゃ…!
「…ごめん、なさい…さっきのことは…謝る、から…」
名前はユーマの神経を逆なでしないように言った…つもりだった。
ちらっとユーマを見ると、
明らかにイラついた顔で名前を見下ろしていた。
『あ?なんだァてめえは…オレを本気で怒らせてぇのか?』
「えっ?!ちが…!」
『いつからそんなにエラくなったんだ?あ?この雌豚ァ!!』
ドンッ!
「きゃあ…っ!」
ドサッ!
ユーマに突き飛ばされて、名前はまた床に倒れた。
痛みをこらえて起き上がろうとすると、
ユーマが馬乗りになって名前を押し倒した。
「やっ…!」
ユーマはかなり怒っている。
それはすぐに分かった。
チッ、と舌打ちをしながら、冷酷な目で名前を見下ろす。
『お前みてえなバカにはよぉ…どっちが上か、きっちり教えてやんねぇと…いけねぇなあ?』
ガッと腕を掴まれる。
ギリギリと音がしそうなほどの力で。
「いた…っ」
名前は恐怖を覚えた。
『聞き分けのわりい雌豚にはよぉ…身体に教えてやんのが一番なんだよ…分かんだろ?…分かんねえか、バカだもんなァ?』
ユーマはフフンと鼻で笑うと掴んでいた腕の力を少し緩めた。
それでも自分の上にはユーマがいるので動けない。
これはもう逃げられないかもしれない。
ユーマの気が済むまで解放してもらえないだろうということは、なんとなく予想がついた。
でも…早く逃げないとルキにバレる…
なんとかしないと…