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甘い契約【DIABOLIK LOVERS】

第2章 いたみわけ【無神アズサ】


『ほら、早く…噛んでよ』

アズサにされるがままに、今度は名前がアズサの上に覆いかぶさる形になる。

『早く…ここ、オレの唇…』

「…っ」

人を傷つけたことなんてないから、さすがに躊躇する。
が、
唇を指差しながら、色っぽく見つめられると、
この状況に身を委ねたくなった。

「…い、いいんですか…?」

『早く…思いっきり…噛んで』

名前は意を決して
アズサの下唇を噛んだ。

ギリッ…

「ん、ふっ…」

強く噛んでもキバのない名前には傷つけるほどの力はない。

『んううっ…』

「んんっ…!」

『ん…もっと…強く…もっと…!』

「んんんっ…!」

ブツッ!

じんわり温かいモノが唇を流れる。
途端に口の中に鉄の味が広がった。

慌てて口を離す。

アズサの下唇は真っ赤に染まっていた。

「わっ、ごめんなさい…!!」

びっくりして謝ると、アズサは恍惚とした表情で自分の口元の血を拭った。

『ああ…すごく、気持ちいい…名前に噛まれちゃった…こんなに血が出るまで…』

「……。」

名前はこの異様な雰囲気に飲まれつつあった。
口から血を流し、悦に入った目で自分を見つめるアズサを美しいと思った。
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