第2章 いたみわけ【無神アズサ】
アズサをベッドに座らせて、自分も隣に座る。
「大丈夫ですか?」
『ありがとう…』
血の気のない顔に細い腕。
アズサとこんなに近い距離で話をするのは初めてだ。
そう考えると途端に恥ずかしくなって、
この場から離れたくなった。
「…あ!お水!持ってきましょうか」
キッチンに行こうとベッドからそそくさと立ち上がる。
ドアへ向かった名前を、アズサが制止した。
『待って、行かないで』
「え?」
『大丈夫だから…行かないで』
行かないで、と熱っぽく言われて、
名前はドキッとした。
『こっちへ来て…ここへ』
そう言って自分の隣をポンポンと叩く。
「…あ…はい」
心臓の鼓動が早くなる。
ドキドキしながらアズサの隣に腰掛ける。
気まずさに、何か話しかけようと必死に頭の中で話題を探していると、
『名前ってさ…』
アズサの儚い顔が名前を覗き込む。
「わっ」
『オレのこと…好き?』
「っ?!」
急な問いに名前は面食らって言葉に詰まった。
アズサはそんな名前を気にとめず、
さらに顔を近づける。
『答えてよ…オレは名前が、初めてここに来た時から…』
アズサが耳元で囁く。
『名前と…痛いことしたいって…思ってたんだから』
「っ!!」
思わず後ずさる。
驚いてアズサを見ると、冷たい眼でうっすら笑みを浮かべていた。
動悸が止まらない。
自分を落ち着かせようと必死で言葉を紡いだ。
「たっ…体調は…?大丈夫なんですか…っ?」
思い出したようにアズサが言う。
『さっきの?…あれは嘘、君の部屋の前で倒れれば、きっと助けに来てくれると…思ったから』
「えっ…」
『オレは最初から…名前と二人きりになりたくて…』
そう言って名前の身体をゆっくりとベッドに押し倒した。