第6章 キモチ
晋「…そうか。お前が大丈夫ならいい。」
もぐもぐと朝食を進める桜花。それを、頬杖をつきながら眺める晋助。
ふと、昨日の銀時への桜花の態度を思い出す。馴れ馴れしく触る銀時。それを、頬を赤らめて拒絶する桜花。少しだけ銀時が羨ましい。桜花に自然に触れられることが。頬を染めた桜花に見つめられたことが。
晋助は「ふ…」と笑うと、コーヒーを持ちながら席を立ち桜花の方へ身を乗り出す。突然のことに桜花は「?」状態。
晋助は桜花の顔にそっと触れる。どんどん晋助の顔が近づいてくる。
桜『え!?え!?何これ…晋くんどうしちゃったの?』
普段あまり晋助に触れられないため、動揺を隠せない桜花。そして昨日の夢の銀時と重なる。
桜『え!?まさか…キ…』
バン!!!!!!!
突然の音に驚いて、音のしたベランダに目をやると、スエット姿の銀時が両手でガラスを叩いていた。ベランダを伝って桜花の部屋に来ようとした途中に、二人の様子を目撃し、慌てて桜花を助けようとしたが鍵がかかっていた。
晋「チッ…。」
晋助は桜花の頬から手を離すと、持っていたコーヒー口をつける。
桜「あ、あれ?鍵なんかかけないのに」
桜花は立ち上がりベランダに向かう。鍵を開けると、銀時は勢い良くガラスドアをあけ、桜花を抱き寄せた。
桜「!!ひゃ……!!」
銀「大丈夫か!?桜花!」
銀時の胸に抱き寄せられ、見上げると、心配そうにゆがんだ銀時の顔がすぐ側にあった。晋助とのこともあり、昨日の夢も引きづり、桜花の顔は真っ赤で口元に手を当てていた。
その様子を見た銀時は高杉に問い詰める。
銀「おい高杉、テメー朝から何やってんだよ…もう桜花に触んな」
晋「ベタベタ触ってるお前には言われたくねー。それに、何を勘違いしてんだか知らねーが、少なくともお前に誤解されるようなやましいことなんてしてねーぜ。桜花の口元見てみろ」
銀「ん?」
ずいっと銀時の顔が近づく。
桜「なに!?近いってば!!」
晋「大人は口元にパンくずなんてつけねーよ。つーことで桜花はまだまだ子供だ。」
桜「パンくず!?」
桜花は口元についていたパンくずを払うと、自分が晋助に対してとんでもない誤解をしていたことに気づき、一気に顔を赤らめた。