第2章 2 クラスメイト
入学最初の席替えも終わり、俺、沖田総悟はホクホクしていた。
『俺はついてるぜィ!席は窓際、しかも桜花の後ろ、同じ班!行事も掃除もグループ学習も桜花と一緒ときたァ!』
心の中でガッツポーズしながら、いつも通りポーカーフェイスを気取り頬杖をついていた。
桜花はちらっと窓越しに総悟を覗き見する。
ちょっとだけ口元が緩んだ、嬉しそうな総悟の顔を見て、
『何考えてるかわかる。総悟、窓際の席好きだもんね』
窓越しに総悟にニコニコする。それに気付いた総悟と窓越しに目があう。総悟は少し顔を赤くして頬杖で口元を隠しながら目を逸らした。感情表現もっとすればいいのに。そんな総悟を見て桜花は心の中でつぶやいた。
ざわざわと騒ぎ出す教室、今日一年生は、入学式だけで授業はなし。帰る準備をしながら新しいクラスメイトと楽しく談笑している子もいた。
総「桜花、帰るだろィ?」
後ろの席から総悟に肩をポンと叩かれた。
総悟はさっきまで脱いでいた学ランを羽織り、カバンを肩にのせるようにかけながら、一緒に帰ろうぜ、と誘ってきた。
桜「うん、帰るけど…そうだ!さっき席替えのあとちょっと笑ってたでしょ!?かわいー!」
総「な"!!!……し……仕方ねぇだろィ。窓際の席が嬉しくて……つぃ……」
総悟の声が段々小さくなる。桜花は本当に総悟のことをかわいいと思った。感情表現が上手くできない総悟は、何だかぶっきらぼうで危なっかしい。けど、小さなサインを口元に残すのだ。
総「桜花には敵いやせんねィ」
そんな窓際で笑いあう二人を、廊下側から冷たい視線で見つめる二人がいた。