第4章 四番隊のお仕事1
目当ての人物はすぐに見つかった。
波間に佇み優しい微笑みを浮かべて待っている。
「翠光。」
「やぁ、優姫。」
駆け寄って見上げると手を伸ばして頭を撫でてくれる。
翠光の胸にそっと頭を預け髪を梳く優しい指に思わず目を閉じる。
「私、父が望む様になりたかったと思ってた。傷ついた人を癒して、誰かの為に生きていけたらって。」
「そうだよ。優姫が私を望んでくれた。愛しているよ。君も、君が創り出したこの世界も。」
翠光はそっと優姫の髪に口づける。
「でも、本当は違った?私はいつの間にか戦うことを望んでたのかな?」
迷いに揺れる瞳はどこか悲しげで、翠光は優姫の頬を両手で包みあやすようにおでこに唇を落とす。
「そうじゃないよ。どちらも優姫であることに変わりはないよ。心とはそういうものだろう?誰かを癒したいと思うことも、誰かを守るために戦いたいと思うことも決して間違いじゃないさ。」
優姫の瞳を翡翠色の瞳が優しく見つめている。
「ただ、優姫は父親から霊力を押さえられていたからね。外に放たれなかった霊力の長年の蓄積が私と、彼を生み出した。普通の死神には出来ないだろうね。だけど、彼も確かに君が望んで現れた。その事実はしっかりと受け止めて向き合って欲しい。」
翡翠色の瞳がとじられた。そして彼がやって来た。