第4章 四番隊のお仕事1
眼帯をつけ直した更木は倒れた優姫に駆け寄る。
自分の霊圧に圧倒されてはいたが、気を失う程優姫の霊力は弱くないはずだ。
優姫の表情から穏やかに呼吸をしていることは確認できた。
このまま少し休ませておけば大丈夫だろう。
「驚かせやがって。」
珍しく焦った自分がなんだか滑稽に思えてつい誰に聞かせる訳でもない悪態をつく。
手を伸ばしてその髪をさらりと撫でた。
ぴくりと優姫の肩が震えた。
「起きたか……」
その顔を覗きこもうとした時だった。
開いた優姫の瞳に射抜かれた。
ピリピリと肌を刺すような空気は明らかな殺気だ。
いつの間にか優姫の手には斬魄刀が握られている。
柄には柘榴石が禍々しく輝き、その刀身は黒曜石で出来ているような色だ。
そして、何より優姫の瞳。
殺気だけが漲り完全に意識が飛んでいる。
一体何があった?
殺気に当てられて眼光を鋭くしながらも優姫を観察する更木に、突然優姫が距離を詰めて斬りかかる。
「消えろ、消えろ、傷つける者は殺せ、消し去れ……」
男に斬りかかっているとは思えない妖艶な笑みが優姫の口許に浮かぶ。
その瞳は未だに何かに取り憑かれたように焦点が合っていない。
(だが、楽しんでやがるのか?)
そうだ、お前は俺と同じだ。
戦う事が楽しくて仕方ないだろう?
お前の本質はこっちだ。