第4章 四番隊のお仕事1
「「さぁ、私の手を取って。」」
何だろう、翠光の声がダブって聞こえる……
ぼんやりとその顔を眺めていると、翠光の顔 が変化していく。
穏やかな淡い翡翠の瞳が仄暗い色になって、徐々に赤黒く染まる。
柘榴石の瞳を持つその人は妖艶に微笑んだ。
「さあ、楽しもうじゃないか。」
凜と澄んだ声音が今は甘い毒を含んでいるかの様。
低く、艶っぽく、脳を痺れさせるように甘く響いてくる。
「あなたは……誰?」
翠光じゃない。
どういうこと?
斬魄刀の力は一つのはず。
でも今目の前にいるのはさっきまでの翠光とは瞳の色も雰囲気も全くの別人になっている。
「私が誰かは優姫が一番よくわかっているはずだよ。優姫が求めたから私が現れることができた。」
ゆっくりと近づき髪を撫でる手は優しいけれど、細めた目は妖しく光っている。
腕を取られ強く引かれれば簡単にその胸の中に閉じ込められてしまう。
「何を求めたんだい?」
低く凄みのある声で囁いて、ゆっくりと口づけられる。
吐息を奪われるように深く唇が重なる。
甘い毒を含まされたように頭の芯からクラクラする。
私が求めたのは……
「影柘榴……」
呟きは再度合わせられた唇が奪っていった。