第14章 喪失
もう会えない……
あの笑顔も見れない……
優しい声も聞けない……
胸が抉られたように痛む。
雛森副隊長は最後の言葉を遺して貰えたんだ……
藍染隊長はどんな想いを……心を彼女に遺したのですか?
今となっては一方的だったのかもしれないけれど、藍染隊長は確かに私の大切な人になっていた……
愛していると言われて、大切にされて……
私自身を求められていると、必要とされていると思ってしまっていた……
戯れだったのだろうか?
昨夜駆けつけて看病してくれたあの優しさは嘘じゃない。
でも、その命が危機に晒されているそのときに想いを託すのは私じゃない。
私が、弱いから……
大切な時に力になれないから……
結局、私には今も何も無い……
その日を生きるのに必死になってさ迷っていたあの頃と同じ……
誰かの為に生きて、誰かに必要とされたいのに……
今も私は一人きりなんだ……
絶望と喪失感が胸を占めたと同時に優姫は意識を手放した。