第14章 喪失
そのままふらりと外へ出た。
ふわふわと足元が覚束無い……
何も考えられない。
気持ちの整理って何だっけ?
現実感なんてない。
『優ちゃん、旅禍はどうだったぁーー?』
胸元にしまっていた通信機からやちるさんの声が聞こえる。
四番隊に旅禍が捕まっていたら連絡するようにとやちるさんのものを借りていた。
「あっ、連絡が遅くなってすみません、やはり旅禍はうちの隊で怪我の治療をしてそのまま拘束してます。明日私も合流します。」
『りょーかーい!じゃ、明日ね。』
驚くほどすらすらと事務的に言葉が口から出た。
手早く用件だけ済ませると通信は切れた。
歩き続けていつの間にか辺りは瓦礫の山だ。
昨日と今日の戦闘で壊れた建物たち……
あちこちに血の跡が残っている。
走り回って隊士達の怪我の処置をして、無理をして倒れた。
あの時私の事を見付けて看病してくれた藍染隊長が……
「あ……あぁぁぁぁぁーーーーー!!!」
喉が裂けてしまいそうなほどの絶叫。
止まらない、止められない……
「いやぁぁぁぁーーーー!!!………うっ、ぐふっ……うっ……」
溢れる涙も迫り上がる吐き気も抑えられない。
崩れ落ち地面についた膝に、口から出た吐瀉物がビシャビシャとかかる。
嘘だっ!嘘だっ!
あの方が、今朝まで私を抱き締めていた人が死んだ?
だって、笑っていたのにっ!!
いつもと変わらず朗らかに笑って……