第14章 喪失
どのくらいその場に膝を突いて動けないでいただろうか?
優姫はのろのろと立ち上がり四番隊舍まで歩く。
表情は無く、操られるように足を進める。
四番隊舍に着くと近くを歩く同僚に声をかける。
「あの、旅禍の動きは今はどうなっていますか?」
「瑞原さん、真っ青だけど大丈夫?」
「はい、平気です。少し隊を離れてて、今はどうなっていますか?」
「旅禍が三名投獄されてる。隊長格とやりあったから彼らも傷がひどくて、怪我の治療も兼ねてうちで預かってる。」
「そうですか……」
「ねぇ、本当に大丈夫?中で治療したほうが……」
「あの、卯ノ花隊長は?」
「優姫、戻りましたか?心配しました。」
後ろからいつもの落ち着いた柔らかな声。
振り返ると眉をしかめた卯ノ花隊長がこちらに歩いてくる所だった。
その顔に僅かな疲労が滲んでいるように見える。
何かあったのかな?
そういえば、更木隊長の治療に私を向かわせた時の卯ノ花隊長の声が少しおかしかった気がした。
手が離せないって……
「嘘ですよね?違いますよね?」
「?……っ優姫?どうしたのですか?」
「卯ノ花隊長、藍染隊長は今、……どこにいますか?」
「‼っ……優姫、どうして……」
「おかしな話を聞いたんです……藍染隊長がっ!!」
「優姫!こちらへ……」