第14章 喪失
五番隊の隊舍に近づいた時だった。
勢いよく隊舍から飛び出してきた人影に思いきりぶつかってしまった。
ぶつかってきた人物も優姫も勢いのまま尻餅をついた。
「ったぁーー……」
「くっうぅーー」
お互い痛さに呻きながら顔を見合わせる。
「雛森副隊長!?しっ、失礼しました。」
「あなたは……」
どこか思い詰めた様な表情の雛森副隊長……
何かあったのだろうか?
旅禍の処分か何かに動きがあったのなら知らせないと……
心配そうに顔を覗きこむ優姫の顔を見た瞬間、雛森の瞳に宿ったのは憎悪だった。
「どうしてあなたなんかが!!どうしてあなたなんかが藍染隊長にっ!!」
「えっ?」
「藍染隊長が亡くなったのよっ!私は……藍染隊長のこと……」
「あ、藍染隊長が亡くなったって、どういうことですか?そんな……」
「あなたみたいな席官にもなれないような下っ端には知らされてないわ。今朝殺されたのよ。あなたは藍染隊長にずいぶん特別扱いをされてたみたいだけど、そんなの遊びよ。」
優姫は受けた衝撃に耐えきれずに膝を突いたまま動けなくなる。
そんな優姫を見下す様に雛森は立ち上がり憎々しげに続ける。
「あの方が最後に手紙を残したのは私。副隊長として支えてきた私よ。そして、男としてもあの方が最後に言葉を残したのは私。あなたなんかじゃない。私は藍染隊長の想いに応えるの!!」
それだけを言い残して雛森は走り去っていく。
その手に手紙を握りしめながら……