第4章 四番隊のお仕事1
ギクリと横の隊士の体が跳ねる。
優姫も一瞬嫌悪感を忘れ声のしたほうをみる。
可愛らしい女の子が大きな目で楽しそうにこちらを見ている。
「ひいっ!く、く、草鹿副隊長ぉぉぉー!」
優姫を抱き込んでいた隊士が飛び上がるように離れて姿勢を正す。
「こ、これは、今隊長のところまで案内しようと……」
みるみるしどろもどろになる隊士。
この方が副隊長の草鹿やちるさん。
可愛らしい見た目に反して肌がピリピリするような霊力を感じる。
「こんにちは草鹿副隊長。今日は定期的な健康状態の確認に来ました。四番隊の七席山田花太郎です。こっちは今年の新人の瑞原優姫です。」
花太郎さんが挨拶すると彼女がニッコリ笑う。
「剣ちゃんならこっちだよ。」
スタスタと歩き出す草鹿の後を花太郎と優姫が慌ててついていく。
すぐに激しく打ち合う音と沢山の叫び声が聞こえてくる。
訓練場……色々な霊力が集まっているのを感じる。
ゾワリと肌に鳥肌が立つ。
学生時代にも訓練は数え切れないくらいしてきた。
だけど、こんな感覚になったことはない。
そう、ここに溢れている霊力、霊圧には学校の訓練にはなかったものがある。
殺気……そうだ、これは訓練じゃない。
この向こうで行われているのは、殺し合い。
脂汗まで滲んできたみたい。
体調が悪くなったわけではないみたいだけど、初めての感覚にどう対処していいのか解らない。
顔色の変わった優姫をやちるはチラリと見ると小さく笑った。