第13章 虎の愛
「お前の親父が死んで、瀞霊廷に運び込まれた時お前を俺のとこで引き取らせろって言ったんだよ。卯ノ花が規則だ何だと言って寄越さなかったから諦めたんだかな。」
ぽんっと頭に大きな手が置かれる。
そのままグシャグシャと乱暴に髪をかき混ぜられる。
「あん時からお前が欲しかった。俺は側に置きたかった……」
そんな事があったなんて……
髪がグシャグシャになるのも忘れて固まる。
この人に認められて求められることが嬉しい。
意外な事実を知らされて頬を染める優姫を面白そうに見ながら更木が続ける。
「だから、お前は俺のもんだ。」
ニヤリといつもの凶悪な笑い顔。
それはどうかと思うけど……
「俺のもんなんだからもっと甘えて頼れ。俺ぁ自分のもんは結構大切にするぜ?」
突然の甘い声にドキリとする。
グリグリと撫でていた手が頬を滑り顎を掴む。
そのまま唇が奪われる。
「あん時に俺の側に置いてたらさすがにこういうことをする気にゃならなかっただろうな。」
チュッと音を立てて離れた唇とからかうようないつもの声。
優しく細められた瞳に心奪われていると、今度は深く唇が会わせられた。
「んっ……ふぁ……」
「剣ちゃーんっ!もういいー?」
突然響いたやちるさんの声にバッと更木隊長から離れる。
チッ……
小さく舌打ちした更木隊長が扉に向かって返事をする。
「おうっ!いいぞ、入れっ……」
明らかに不機嫌だった……