第13章 虎の愛
「剣ちゃんっ、どお?スッキリしたぁ?……じゃなくて、怪我よくなった?」
絶対わかってるっ!
やちるさんは今まで何してたかわかってるっ!!
タイミングも良すぎだし、何かどっかで見られてたんじゃないのっ?
一気に頭に血がのぼり沸騰しそうなほどの羞恥に襲われる。
畳をひっくり返して穴を掘りたい位だ……
「優ちゃんは本調子じゃないんだから無理させたらダメ!!」
「あぁ?仕方ねぇだろうが?」
「仕方なくないよぅっ!しつこいと嫌われちゃうよ?おやつ作って来てくれなくなったらどうするのっ?」
やちるさんの心配はそっちか……
いや、でも安心するとこじゃないか……
「優ちゃん大丈夫?卯ノ花さんとこでこれ貰ってきたよ。」
やちるさんがハイッと渡してくれたのは四番隊の隊士に配られる滋養強壮剤だった。
ヘトヘトで動けない事には変わりないから助かったかも。
ありがたく受け取って飲み込む。
少しすり減った霊力と体力が戻った。
これで歩けないなんて事はないけど、腰の鈍痛までは治らないか……
大怪我をした後にあんなに行為に励んだ更木隊長はけろっとしていて少し恨めしくなる。
じとっと目線を送れば、何か文句あんのか?と凶悪な笑顔がかえってきただけだった。