第13章 虎の愛
「俺の霊力に充てられて?どういうことだ?」
「多分、私の翠光は治癒ではなく浄化の能力なんです。」
優姫も昨日仮死状態になって気づいたのだ。
傷の治癒などのダメージを回復させるために原理はまだわからないが、相手の霊力を吸収して浄化して戻す様な感覚で回復させているらしい。
しかし浄化したダメージは僅かに優姫の身体に蓄積されているのだった。
昨日は初めてあんなに多くの隊士の怪我を治療した。
塵も積もればというやつだろう。
優姫の身体に蓄積されたダメージを自身で処理しきれず、その影響で身体の機能が停止してしまったのだ。
少なくとも優姫は自分の斬魄刀の能力をそう理解した。
そして今日、更木隊長の治療に当たってほぼ確信に変わった。
更木隊長の霊力が身体を巡るような感覚が確かにあった。
あの野生の獣のような激しい霊力が身体の中を這い回ったのだ。
初めてその霊力を感じた日から、惹かれ続けた霊力……
こうなりたいと、こんな風に強くなりたいと思った圧倒的な霊圧に包まれた。
ざわざわと胸にさざ波を起こす更木隊長の霊力を長時間感じ続けて、優姫は完全に興奮状態になっていた。
まるで涅隊長に嗅がされた媚薬の様に熱を持った身体が優姫を苦しめていた。
「更木隊長の霊力は私の憧れそのもので……触れる時間が長かっただけです。おとなしく休んでいれば収まります。だから大丈夫です。」