第13章 虎の愛
気づくと目を瞑り祈るように手を組んでいた。
更木隊長……
大きな手で乱暴に、でも優しく頭を撫でる。
広い背中は頼もしくて、すべてから護ってくれる。
自信満々にニヤリと笑う顔。
また皆でご飯を食べたいです。
更木隊長!!
「優姫、聞こえますか?」
通信機から突然卯ノ花隊長の声がした。
「は、はいっ!」
「更木隊長が負傷しました。私は今、少し…手が離せない件があって駆けつけることが出来ません。……代わりにあなたが向かって救助してください。」
「わかりました。更木隊長の負傷は?」
「草鹿副隊長から連絡があった座標を言います。更木隊長は今は命を落とすことはないそうですが、危険です。すぐに向かって下さい。」
「わかりました。」
卯ノ花隊長から聞いた場所へ一目散に駆け出す。
珍しく卯ノ花隊長の声の様子がおかしかった気がする。
こんな緊急時だからだろうか?
とりあえず今は更木隊長の治癒が自分に与えられた最優先任務だ。
瀞霊廷の一角にある高めの建物の屋上にその人達はいた。
「剣ちゃんっ!剣ちゃんっ!」
やちるさんの悲痛な声が響いている。
「やちるさんっ!更木隊長の治癒に来ました!」
「優ちゃんっ!剣ちゃんの意識が!」
駆け寄ってざっと様子を確認する。
意識は無い。
手に握られた斬魄刀は無惨に折られている。
斬りつけられた傷は……深いっ!
出血もかなりしている。
治癒に時間が掛かるかもしれない。