第13章 虎の愛
二人と一緒に縁側に出て神経を研ぎ澄ませる。
一つは黒崎一護の霊圧。
阿散井副隊長と闘った時より強くなってる。
もう一つは、更木隊長……
その霊圧を感じた瞬間、とくんっと心臓が跳ねたのがわかった。
戦闘になったときの更木隊長の霊圧。
あの日、初めて十一番隊に行った時に更木隊長の戦いを見た日から惹かれて止まない圧倒的な霊圧。
野生のしなやかな獣を思わせる霊力。
誰にも飼い慣らせない獣。
あんな強さがあれば私も父親を亡くした後あんな風に生きなくて良かったのかもしれない。
自由に、戦いすら楽しんで刹那を生きる……
更木隊長は私の憧れる生き方そのもの。
瞳を閉じてその躍動する霊力を全身に感じる。
黒崎一護との闘いを更木隊長は確かに楽しんでいる。
自分と対等、もしくは僅かに上回る霊圧を前にその力を存分に出すことが出来る事を喜んでいる。
一角は焦がれるような表情の優姫を目を細めて見つめる。
こいつも、何だかんだでコッチ側なんだよな。
四番隊にいながらに戦闘も出来る斬魄刀の力を持つことは珍しい。
優姫はたまに訓練場に来ては剣術の手合わせをしていく。
一角も何度か優姫と刀を合わせたが日に日に目に見えて強くなっている。
本気で殺気全開の戦闘訓練にも妖艶な笑みを浮かべながらこなしていく。
うちの下っ端の隊士ではもう敵わない実力もある。
隊長は本気でうちの隊に引き抜こうとしてるしなぁ……