第12章 逢瀬
次の日の早朝起き出した優姫は一度本隊に戻る為に身支度を整える。
今日は定例集会の日だから、一番隊の隊舎に卯ノ花隊長も更木隊長もいるだろう。
昨日は戻れなかったことを心配させているかもしれない。
席官ではない自分が隊舎に入れるわけはないが、集会が終わるまで待って二人に戻ったことを報告しなければ。
ふわりと自分の襦袢から白檀の香りがした。
藍染隊長の香り。
明け方近くまで抱き締められて温もりを分け与えられた身体を両手でそっと抱き締める。
特別指南を受けていた頃もこうして藍染隊長の移り香に包まれていたことを思い出す。
特別指南が終わればなかなか会うことは叶わないと思っていた。
不測の事態でもああして会えたことは素直に嬉しい。
幸せな気持ちになって僅かに口許を綻ばせて優姫は卯ノ花を待っていた。
おかしい……
定例集会ならそろそろ終わるはずなのに、どの隊の隊長や副隊長も出てこない。
何かあったのだろうか?
こうしていても仕方ない、医療詰所に一角さんを見舞いに行こう。
更木隊長も来るかもしれないし。
優姫が到着する少し前に雛森が東大聖壁の上に磔にされた藍染の遺体を見つけていた。
錯乱した雛森が市丸に斬りかかった。
それを吉良に阻まれ戦闘になった二人が牢へ投獄されていた。
隊長一人と副隊長二人を欠いて大混乱になっていたことを優姫が知るのはもう少し後になってからだった。