第11章 旅禍
「ふざけんな!!」
阿散井副隊長が絶叫する。
「てめえがルキアの霊力を奪いやがったからルキアの罪は重くなったんだ!!わかってんのか!?てめえの所為でルキアは殺されるんだよ!!そのてめえがどのツラ下げてルキアを助けるなんてぬかしやがる!?ふざけんじゃねえ!!!」
言葉とともに怒りの激情をぶつけながら刀を繰り出す阿散井副隊長。
「…俺のせいでルキアが殺される…?わかってるさそんなこと……!だから俺が助けるんじゃねえかよ!!!
」
阿散井副隊長の攻撃を受け止めていた黒崎一護も咆哮する。
阿散井副隊長の斬魄刀の蛇尾丸を弾き返す。
鞭のようにしなる蛇尾丸を一旦引いて元の刀の形状に戻す。
その隙を突いた黒崎一護が斬魄刀を振り上げる。
「終わりだ恋次!!!」
渾身の一振りだったのだろう。
阿散井副隊長が身体を捻ってかわした瞬間、黒崎一護が目を見開いて息を止めたのがわかった。
「言ったろ、てめーは万に一つも俺には勝てねえ」
ドン!!!
逆に阿散井副隊長が振り上げた斬魄刀が黒崎一護の左の肩口を斬りつけた。
信じられないものを見る表情で崩れ落ちる黒崎一護。
思わず優姫は目を背けた。
これで彼も終わり……
チクリと胸にトゲが刺さったような鋭い痛みが走る。彼を助けたいという思いが優姫の身体を突き動かそうとした。
「…どうして躱されたかわかんねぇってツラだな。連撃の隙を衝くってのはいい、タイミングも完璧。なのになぜ俺を殺せなかった?」
阿散井副隊長が崩れ落ちた黒崎一護を見下ろす。
静かに、でも確実に最後の瞬間が迫る。
「答えは一つ、てめーが俺より遅えからだ!俺とてめーの埋めようの無え力の差。ただ単純にそれだけのことだ。わかったか。…てめーにルキアは救えねえ。」