第11章 旅禍
四番隊の掃除の管轄に地下水道がある。
懺罪宮のすぐそばまで通っている通路があったはず。
花太郎さんもその場所は知っている事と、何よりも花太郎さんはルキアさんを助けたがっていた。
きっとそこを通って来る。
あの角を曲がれば地下水道の出口がある。
全力で走って角を曲がる。
遠くに花太郎さんと旅禍の二人組が出口から出てきた所が見える。
花太郎さんに危険があってはいけない、気付かれないように近づかなければ。
壁の影に隠れながら近づこうともう一度三人に目を向ける。
三人は一点を見て動かなかった。
様子がおかしい。
何を見ているのかと、優姫もその方角を目で追う。
三人と対峙していたのは……
阿散井副隊長!!
一角さんが言っていた旅禍、黒崎一護が進み出ていく。
対峙した二人は斬魄刀を抜き剣を合わせる。
ガンッ……ギァン……
辺りに剣撃の音が響く。
優姫は二人の戦いに目を奪われながらも近づいていく。
僅かに黒崎一護が阿散井副隊長を圧倒しているかに見える。
剣を交えながら二人は何かを言い合っているようだ。
「隊長が何人!?副隊長が何人!?関係ねえよ!倒してやる!!そいつらがジャマするってんなら全員だってな!!」
響いてきた黒崎一護の声。
決意のこもった、絶対に引かない意思を持った声だった。
この人間の少年は、本当に護廷十三隊の全てを敵にまわしてルキアさんを助けるつもりなのか。
その後も何かを言い争う二人。
阿散井副隊長の斬魄刀が始解する。
攻撃を受けて黒崎一護が吹っ飛ばされた。