第11章 旅禍
そういえば、花太郎さんがルキアさんから聞いた人間の少年の特徴もオレンジの髪。
ルキアさんを助けにきたの?
一緒にいる花太郎さんに危害を加えそうにはなかったけど、心配だ。
「隊長の人相を伝えて気を付けるよう言っておきました。奴が俺の言葉を憶えていれば、どこで遭っても最高の戦いが楽しめる筈です。」
一角さんの言葉に更木隊長の顔つきが変わり始めた。
沸々と沸き上がる闘志が霊力を僅かにあげた。
「奴は強く、そして恐らくあの強さは未だ発展途上。隊長と遭う頃には更に強くなっているかもしれません。」
「そうか…」
更木隊長の顔に残酷な笑みが広がる。
「そいつの名は?」
ゾクリとするほどの霊力。
獲物を狩る時の更木隊長の瞳に私の中の暗い部分が疼く。
更木隊長の闘う姿をまた見てみたい……
ドキドキする。
でも、その前にやらなければいけないことがある。
花太郎さん、今どこにいるんだろう。
探さなきゃ……
「私は少しやることがあるので、後からまた伺います。」
三人に挨拶をすると私はある場所に向かって走った。
強く打ったらしい頭が少しクラクラするけれど、多分花太郎さんが一緒なら……
旅禍の目的がルキアさんならあの場所から懺罪宮に向かっているはず。
優姫は確信を持って白い塔を目指していた。