第11章 旅禍
「いくぞオラァ!!」
「ぶッ殺せーーー!!!」
ドォン!!!
突然の横からの爆風に隊士の大半と優姫は吹っ飛ばされる。
一瞬、人混みの向こうに花太郎さんが見えた。
オレンジの髪の少年の死神と流魂街の住人の青年に抱えられて走り去っていく。
待って、花太郎さんを連れて行かないで……
ガツンッ
優姫の右の額に爆風で飛ばされた瓦礫が当たった。
そのまま優姫は気を失った。
「おい、優姫……」
「優ちゃん大丈夫?」
誰かに抱き起こされて意識を取り戻した。
「は、花太郎さんっ!……っう!」
「急に動くんじゃねぇよ。頭にデカイたんこぶ出来てるからな。」
「更木隊長!!」
抱き起こしてくれていたのは更木隊長だった。
背中のやちるさんも無事だ。
「うちの隊の花太郎さんが旅禍に連れていかれました。一角さんが斬られてうちの隊舎の詰所にいます。」
「そうか……お前も旅禍にやられたのか?」
「私は、突然横からの爆風で飛ばされてしまって……壁の向こう側だからと霊力に気づいていながら油断してしまいました……」
そう、あの時確かに大きな霊力が近くにあった。
壁の向こうだからと言うのと、花太郎さんを助けなければと気をとられていて油断していた。
まさか、壁を爆破して来るなんて……
「とりあえず、お前の傷は舐めときゃ治るか……」
おでこを見ていた更木隊長がおもむろに傷を舐めた。
「ひゃっ……」
おでこの盛大なたんこぶにわずかな傷があり、少し血が出ていたらしい。
更木隊長が長い舌でベロリと舐める。
ピリピリした痛みと訳のわからないぞくぞくとした感覚が腰の辺りに這い昇る。