第11章 旅禍
数秒の静寂の後、
「何…」
「やってんだてめえら?」
十一番隊の隊士の声。
「え…」
「何って……人質?」
こっちが旅禍の声?
まだ若い、少年くらいか同じ年頃の男の声。
「俺らとそいつが仲間に見えるか?」
「…違うのか?」
「ぼ…ほくは四番隊、あの人達は十一番隊
です…」
花太郎さんの声、怯えてる。
「俺ら十一番隊は護廷十三隊最強の戦闘部隊、ひきかえ四番隊は弱すぎて救護しかできねぇ、十三隊最弱のお荷物部隊…」
「ゆえに俺ら十一番隊は四番隊が…」
「大っキライでーーーーーすっ!!!」
「殺したきゃ殺せや!!ぶっちゃけ一石二鳥だコラァ!!」
ギャハハハハハハハハ!!!
大笑いする隊士達に怒りで身体が震える。
「何勝手なこと……!!」
花太郎さんと初めて健康確認に十一番隊へ行った時のことを思い出す。
明らかに花太郎さんを侮蔑する態度をしていた隊士達がいた。
私は女だから、下心からそういう侮蔑の態度を取る隊士は少ないが、明らかに十一番隊は四番隊を見下している。
こいつらが助けないなら、私が……
「ちょっと、通して……」
「いやーーーーーー!!!」
花太郎さんの悲痛な叫びが耳に刺さる。
「ちょちょちょちよっと待てぇ!!キライだから死んでもいいなんてヒドすぎるじゃないかキミ達ィ!!」
「おーマトモな反論だ。」
意外にも旅禍達からマトモな言葉が聞こえる。
どうやら、目的の為なら手段を選ばないような卑劣な連中ではないのかもしれない。
今まで死人が出ていないのがそれを物語っている。
これなら花太郎さんを解放してくれるかも。
交渉するために更に人混みの中を進もうとした時だった。