第11章 旅禍
「敗けたヤツが言うセリフじゃねぇな。忘れてくれ。もっと強くなったら、改めてお前に伝える。だから、それまではもうこんな風に敗けねぇよ。」
一角さんは、こんななりじゃかっこつかねぇなと笑った。
出血をほぼ止めた所で翠光の力を消す。
今なら、どうして私が十一番隊の担当になったのかわかる。
これだけの被害が出ては普通の鬼道では間に合わなかった。
私の斬魄刀の力で一度に複数人の治療が出来なければいけなかった。
「応急処置が済んだ方から総合医療詰所に運んで下さい。一角さん、後から医療詰所に伺います。」
一角さんや他の怪我人を運んでもらうように指示を出して、他の戦闘現場に向かう。
四番隊の三席の伊江村さんが他の班を連れて応援に駆けつけ始めている姿を見てホッとする。
「あれは、花太郎さん?」
遠くに花太郎さんが一人でいるのを見つける。
伊江村さん達はさっきあっちの通りに向かっていたはずだけど、何してるのかしら?
優姫が声をかけようと近づいて行った時、花太郎が見事につまずいて転がるように人混みに突っ込んで行った。
「花太郎さんっ!!」
花太郎さんが突っ込んで行ったのは十一番隊の隊士たちの班だったが、何やら騒いでいる。
「おらァ!!てめーら道あけろォ!!」
「てめーらの仲間ブッ殺されたくなかったらなァ!!」
「ギャーーーーーーッ!!!」
人混みの中心から聞きなれない声と花太郎さんの叫び声が響く。
まさか、旅禍!?
「花太郎さんっ!!」
人混みを掻き分けようとするか、十一番隊の隊士は他の隊よりも体格のいい男性隊士が多い。
なかなか入っていけない。