第11章 旅禍
更木隊長は十一番隊の守護配置以外も旅禍を捜索して回っているようだった。
私は十一番隊の守護配置の中心にいて怪我人が出ればすぐに向かえる準備をしていた。
しかしその後は侵入者の気配すらなく、時間だけが過ぎていった。
更木隊長もやちるさんを背負ったまま戻って来た。
「何だよ結局明け方まで捜し回っても何もいやしねえじゃねえか!おう!オメーらももう帰ってもいいぞ!」
「残念だったねえ……」
そんなやり取りが聞こえてきて、そろそろ解散かと思った時だった。
ゴォォォォォ………
空から低い音が響いた。
「あ?何の音……だ…」
見上げた空に不気味な球体……
落ちてくる!!
ドドドドドドドド………
響く音もどんどんおおきくなって、最後はズゥンという音と共に空が強い光につつまれる。
尸魂界の空に張られた遮魂膜にぶつかったそれは暫く留まり火花のような光を放ち続けた。
ドォン……
最後に爆発するような音を発して四つの光が四方に飛び散った。
「くそ…四つに分かれて吹き飛びやがった…!どいつだ…!?」
更木隊長が光をそれぞれ睨み付けながら呟いている。
「一番強ぇェのは…どいつなんだ…!?」
どれかに目星をつけたのか更木隊長かやちるさんを乗せて走っていく。
実際に目にした侵入者に呆気に取られていた優姫は気を取り直して自分の役割に徹することにした。
この瀞霊廷に侵入者が来たということはこの後は戦闘が待っている。
旅禍の強さは解らないが、いずれかに怪我人が出ることは間違いないのだから。