第10章 愛を請う
朽木隊長に手を引かれて歩く。
流魂街の一角にある落ち着いた雰囲気の屋敷に入る。
「あの、ここは?」
「朽木家の別邸だ。ここは使用人が数人だけで落ち着く。たまに寄るのだ。」
手をつないだまま庭に通された。
「お湯を用意する。そのまま待て。四番隊長には私から使いを出しておく。今日は、このまま仕事は終わりだ。」
「はぁ……」
ちょっと強引な朽木隊長に唖然とする。
少し大きめの桶にお湯を張ったものを使用人の方が持ってくる。
「後は私がやる。下がっていい。」
使用人の方を下がらせると、朽木隊長が私が座る前に跪く。
私の足を取る。
「っ!!あのっ、自分でやります。」
見れば転んだせいで足袋も泥だらけだ。
朽木隊長は私の目を見つめて無言で制する。
右足の足袋を脱がせ、お湯に浸ける。
足袋の中に入った泥を落とし、足先に怪我がないか見ている。
素足を晒すのが恥ずかしい。
頬がどんどん熱くなる。
濡れた右足を布で拭い、左足を取る。
同じように泥を落とされる。
左足を布で拭うと、つっと足の甲を指が滑る。
「んっ……」
突然の刺激に甘い声が出る。
チラリと朽木隊長が反応を伺っている。
つつつ……今度は意図的に素足を撫でる。
「んんっ……」
口許を手で抑えて恥ずかしい声を殺す。
足の甲に指ではない柔らかいものが触れた。
ハッとして見下ろせば朽木隊長が足に口づけていた。
「だっだめですっ!!」
叫んで思いきり足を引いた。